本報告書は、日本財団の平成10年度補助事業として実施した交通ボランティアネットワークビジョンの構築に関する調査研究の成果を取りまとめたものである。
わが国は、2015年には65歳以上の高齢者が全人口の約4分の1を占めるという高齢社会をむかえ、併せて障害のある方々の自立と社会生活への完全な参加を可能にするためには、交通部門においてもこれまでの速くて安全な交通機関を追い求めるだけでは、これからの高齢社会また障害のある方々をはじめとする移動制約者の要請には、必ずしも応えられなくなってきている。
これからは、高齢者や子ども、障害のある方々等が“共に生き・共に考え・共に楽しむ”人にやさしい交通機関の実現が必要である。
本調査では、地域における高齢者や障害者等の移動を介助するボランティア(交通ボランティア)について現状とニーズを調査し、さらにその活動を効果的に推進するためのネットワークビジョン構築化の方策を検討した。
今後、本報告書が国、自治体、交通事業者そしてボランティア等において活用され、高齢者や障害者の方々の公共交通機関の利用並びに通院等の外出時の移動に、一層便利で、安全に、快適なシステムができることを願ってやみません。
本調査の実施にあたっては、委員長の石田東生筑波大学教授をはじめとする委員各位、関係機関、交通事業者およびボランティアの方々に絶大なるご協力とご助言を頂いた。
また、調査研究の一部については、株式会社第一勧銀総合研究所に委託して研究を行ったものである。
ここに改めて感謝の意を表する次第である。
平成11年3月
交通エコロジー・モビリティ財団
会長 大庭浩