現場用海洋データ品質管理ソフトウェアの開発
秋島重樹*・○鈴木亨†・永田豊†・馬場典夫‡
(*(株)パスコ・†MIRC・‡JODC)
キーワード:データベース・品質管理・JODC
各水産試験研究機関では1960年代からほぼ月一回のペースで定線観測を行っており、これらのデータは海洋観測資料刊行委員会が配布しているデータ管理プログラムPODを使って入力され、流通ファイルフォーマットで保管されている。しかしながら、PODは流通ファイルの作成を目的とするが、現状ではエラーチェックが完全に行われているとは言えない。そこで、流通ファイルに含まれる基本的なエラーの検出と修正が系統的に行え、現場でも適用可能なソフトウェアを開発している。このソフトウェアでは同時に、水温・塩分・密度のレンジおよびプロファイルをチェックすることもできる。これを利用して、JODCに収集・保管されているデータの品質管理を促進するとともに、MIRCあるいはJODCに流入してくるデータの信頼性の向上を図る。また、このソフトウェアはWindows95/NT上で動作し、アルバイトのような非専門家でも簡単に作業が行えるよう配慮してある。
観測日時および位置に関する基本的なエラーの検出には、クルーズ毎の航跡・船速チェックが有効である(Figs.1,2)。例えば船速が異常に大きい場合は、該当する測点を航跡図およびヘッダ部分に反転(もしくは赤色で)表示され、オペレータはその場で修正が可能である。また、水温・塩分値や標準層間の水温勾配、密度差(逆転)が設定範囲外の場合には、その種類に応じてフラグを自動的に付加し、データを品質管理する(Fig.3)。現在は和歌山水試をテストケースと扱っているが、他機関の流通ファイルに対しても作業は基本的に同様である。
Fig.1. クルーズ選択ウインドウ
Fig.2. 観測位置情報エラーの検出例
Fig.3. 水温・塩分・密度のプロファイルチェックウインドウ