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(3)統計量を算出する小領域のサイズによる影響

標準偏差/平均比などの局所的な統計量に基づく解析では小領域の大きさによって解析結果に差が出ることが予想される。その影響を評価するため小領域のサイズを変化させて結果を比較した。

1] 解析方法

5×5、10×10、50×50ピクセルでの標準偏差/平均比を計算し、それぞれのサイズで画像の差を目視で判読するとともに、相関係数によって評価した。

2] 解析結果

5×5と10×10の結果を比較すると目視からは明瞭な差は得られなかった。領域のサイズを小さくするとエッジ強調フィルターに近い出力となった。これは領域が小さいと局所的な空間変化の大きさを強調する傾向となるが、領域を大きくするとより全体的な変化の大きさが強調される傾向があるためである。

50×50のケースでは他の画像に比べ輝度の変化がより強調された。また、海面の高輝度な領域と比較的暗い海面との境界部が特に強調され白く表現された。これは両者の境界部(輝度が変化している部分)の空間サイズが10ピクセルよりかなり大きいため、小さい領域についての計算では標準偏差が大きくならなかったためである。

領域のサイズの異なる画像間の相関を表7に示した。

5×5と10×10の相関は比較的高かったが、50×50はとその他のサイズとの相関は低かった。

 

表7 小領域のサイズの違いによる標準偏差/平均比画像の相関

020-1.gif

 

50×50ピクセルのケースについて標準偏差/平均比を10段階に分類して密接度とすることを試みたが、直接、密接度とすることはできなかった。

統計量を計算する領域のサイズによる影響は比較的小さいものの、サイズが大きいケースでは輝度値の変化を強調しすぎる傾向が見られ、10×10ピクセル程度が適当と判断された。

 

 

 

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