不知火
毎年八朔(陰暦の8月1日、例年9月始めに当たる)の払暁、海上はるかに点々と浮かんで明滅乱舞する光であり、八代市高島などがこれを見物するための最好適地とされ、当日は多くの人が見物に来る。その出現する原因については大体次のようにいわれている。
1 不知火の光源は、低潮の際、干出浜で貝類を採る人々の持っている灯火である。
2 八朔のころは日中の気温はなお高いが払暁の気温は相当低くなる。したがって、払暁における気温と水温との差が大きい。すなわち、干出土砂の温度と干潟上に残された水たまりや水路の水温との差が大きいために、干潟の上部の空気に乱れが起こる。この空気の乱れの層を光が通るために明滅乱舞して見える。
3 古来から雨の日、日中曇りの日、風の強い日などには出現しないというのは、貝類を採る人が出ないためか、あるいは空気の乱れが起こらないためである。
4 八朔の0200ころは、ちょうど大潮の低潮時に当たっている。なお、不知火はその前日あるいは翌日においても第1・第2の条件が満たされれば出現する。しかし、八朔の3日以前又は3日以後になると低潮時が深夜でなくなるので見られなくなる。