第4章 新たな高次機能の必要性
1 広域防災拠点としての新たな高次機能
(1) 大規模災害時に対応した港湾防災拠点の整備の考え方
阪神・淡路大震災以降の国における港湾防災拠点整備の方針を踏まえ、呉港における港湾防災拠点整備の基本的な考え方を整理する。
ア. 阪神・淡路大震災の教訓からみた必要機能の検討
運輸省では、阪神・淡路大震災において港湾が緊急物資の海上輸送、仮設住宅用地など、市民生活の復興に大きな役割を果たしたことに鑑み、多目的に利用可能なオープンスペース、耐震強化岸壁等に、緊急物資の保管施設、通信施設等を必要に応じ備える港湾防災拠点を全国の主要港湾に整備している(図表2-4の「地震に強い港湾づくり」構想)。
とりわけ、港湾防災拠点においては、震災直後に外部から海上交通を利用して被災地へ送られてくる食料・生活必需品、飲料水、医薬品等の緊急物資の受け入れ、仕分け、一時保管、搬送に対応できるよう、岸壁、物揚場、トラックターミナル、上屋・倉庫、臨港道路等の港湾施設の整備や耐震強化が求められる。
また、時間の経過に伴い被災地の混乱がおさまってからも、災害廃棄物の一時保管や応急仮設住宅の建設用地、復旧・復興基地等の利用に対応した多目的オープンスペースの整備が求められる。
その他、港湾防災拠点において整備が求められる機能を図表4-1に示す。
イ. 県の広域防災拠点整備方針と呉市の位置付け
広島県では、県内で大規模災害が発生した場合に備え、全国から送られてくる大量の救援物資の受け入れや市町村への搬送を効率的に行うとともに、倒壊家屋等からの迅速かつ効率的な救出活動を支援するため、県内数箇所に救援物資輸送及び救援部隊集結のための救援拠点を指定・配置することを検討しているところである。