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方面別構成の特徴について検討した。現状は、呉港の背後都市圏からの貨物取り扱いは小さく、広島港の利用が大きくなっている。なお、将来の貨物量見通しとこれに対応した新たな機能・空間の必要性については、並行して実施されている呉港港湾計画策定調査において具体的に検討されているため、その結果を本調査研究に位置づけていくが、本年度の検討の中では様々な地域整備の効果やモーダルシフトの進展にともなう貨物輸送需要に、"広島広域都市圏東部流通拠点"として対応していくものとして位置づけておく。

第4章では、呉市の備えるべき新たな高次機能として1]広域防災拠点、2]広域廃棄物処理拠点、3]海洋環境産業創出の必要性について検討した。1]については、大規模災害の被害想定から物資備蓄の必要性を検討し、呉港がi)救済物資の搬出・搬入、ii)災害廃棄物の一時保管、iii)救助・救急活動支援、iv)避難支援の4つの役割が求められていることを提示した。2]については、呉市周辺町村の廃棄物搬出の状況と処理施設の整備状況を把握した。そして、近年のゴミ量増大の中でダイオキシン問題が全国的に深刻化している結果、廃棄物の広域処理の必要性が重視されている潮流を受けて、呉港は海上交通の利用を想定したゴミ・残さ等の受け入れ、搬出などの拠点としての役割、例えば輸送フェリーの接岸機能などが求められていることを提示した。3]については、新規成長市場群の一つとしての海洋産業、環境産業などの状況と呉市の工業技術集積の特徴を把握した上で、"洋上プラントによる産業廃棄物処理デモンストレーション事業"の具体化を提示した。

第5章では、高次機能受け入れの空間創出の一つの手段として、メガフロートの適用可能性について、メガフロートの施設の特徴とメリット・デメリット及び既往事例の状況、技術研究の動向、埋め立て工法との費用などの比較、法律・規制上の問題などの比較、法律・規制上の問題などの多面的な検討を加えた。そして、メガフロートは技術的に確実に改善・発展しつつあること、費用面での条件も改善しつつあること、環境への負荷が相対的に小さいことを明らかにし、呉市港湾の地域的な条件からすると、適合性が高いことを明らかにした。

第6章では、以上の取り纏めとして、呉市の新たな役割に対応した高次機能の整理を行い、また、メガフロートが担うべき施設の状況について整理した。

 

 

 

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