序章 調査研究の目的と全体体系
1 調査研究の背景と目的
現在、国際化に伴うメガコンペティション(大競争)の時代にあり、地域活性化に向けての地域間競争の激化が顕著である。この様な時期にあっては、中心都市の活力が圏域全体の活力・発展力を規定する事になると考えられる。言い換えれば、中心都市が圏域の要請する高次機能を有し圏域全体の事業・生活環境の維持・向上を担いうるかどうかが重要な要素になっているといえよう。
この様な観点からすると、呉地方拠点都市地域の発展に向けては、圏域発展の中心としての呉市がどの様な広域的な役割を果たしうるかということの重要性が高まっている。そのため、本調査研究においては、港湾都市として発展してきた呉市が、新たな時代に対応した港湾機能整備を図る際の可能性を検討する。そして、この港湾機能にとどまらない高次機能(広域防災機能、広域廃棄物処理機能、海洋環境産業の創出、など)整備の必要性を明確にした上で、その実現方策と課題………例えば、受け皿の問題(地域の地勢上の制約、等)を検討する必要がある。例えば、この点に関しては、山地が迫り開発余地が小さいという呉市の地形条件上の制約面からみた課題解消の具体的手段の一つとして、現在、技術研究が進められているメガフロート導入を受け皿として想定して検討する。
そのため、メガフロートが現在どういう状況にあるかを検討することによって、活用の条件を明らかにする。そして、呉市の地域整備の課題に対して、メガフロートがどの様な役割を果たしうるか(活用のイメージ)を明らかにする。
次いで、地域からの広域的な高次機能の必要性調査の結果導き出されたメガフロートの活用イメージをもとに、事業化計画を検討する。具体的には、
・ メガフロート及び各導入施設の事業規模の想定
・ 建設事業費の想定
・ 事業スキームの想定
・ 事業スケジュールと資金計画
・ 事業化計画実現に向けての条件・課題
について検討する。
なお、この様なメガフロート活用プロジェクトは、実際の事業実施段階においては各省庁関連の事業が混在する形となり、一部、施策・諸制度の見直し・変更を伴いながら進められる可能性がある。そのため、どの様な条件の下でこの様な取り組みが円滑に進められる余地があるか、を明らかにすることに留意しながら、調査研究に取り組む。
また、本調査研究は2年間をもって実施するが、本年度はその前半にあたる広域機能の整備の必要性を検討することとする。