序 調査研究の目的
高齢化の進行や生活習慣病の増加などを背景に、市民の自主性・連帯及び公私の協働にもとづく福祉社会の実現、言い換えれば、いたわり、支え合う社会システムの構築と健康で明るい生活を営むための意識啓発や基盤づくりが強く望まれている状況にある。
このようななか、本調査研究の対象地である具志川市(以下、「本市」という。)においては、「具志川市地域保健福祉計画」が作成されている。
当該計画では、市民の福祉や健康づくりを市民、行政、関係団体などの役割分担のもとにネットワーク化し、より地域に根差した、連携重視の体系となっている。このようなネットワーク化の中心として期待されるのが地域の公民館や保健センターなどの拠点である。しかしながら、本市の保健相談センターや社会福祉センターなどは、施設・設備の老朽化などにより、多様化、高度化する市民のニーズに対応できなくなりつつある。また、福祉と健康・保健は垣根がますます低くなっており、両者の統合的機能を備えた拠点施設の整備が強く望まれている状況にある。一方、いたわり、支え合う福祉の風上の醸成や健康な生活のための基盤づくりのためには、市民の当事者意識が重要である。また、地域福祉・保健の推進や拠点施設の運営においては、市民の主体的な参画が必要である。とりわけ、青少年への働きかけは重要であり、おもいやりの心や健康づくりに対する関心を、ボランティア活動などを通して実際的に学べるような場としての役割を果たす拠点も必要である。
本調査研究は、このような問題意識のもとに、本市における福祉・健康づくりにかかわる実態分析を踏まえつつ、そのネットワーク形成と活動拠点整備のあり方について検討する。そして、これらの成果をもとに、いたわり支え合う福祉の風土の醸成や健康づくりの基盤形成への今後の取組の方向を提示することを目的として実施するものである。