序章 調査研究の目的と視点
1 調査研究の背景と目的
現在、全国的に地方分権推進への要請が高まり、平成10年5月には「地方分権推進計画」が策定されている。そして、このような動きに対応して、基礎的な地方公共団体である市町村の地域経営能力充実への要請が高まっている。離島地域においても、高齢化や人口減少に対して小規模市町村が連携強化を進め、一体的施策展開を推進することが求められている。
瀬戸内海の大崎上島を構成する3町(東野町、大崎町、木江町)はいずれも人口、面積とも小規模であり、人口減少、高齢化、主力産業の衰退といった課題を抱えている。各町はこれまで当然のことながら個別に施策を展開してきたが、一方で、住民の日常生活や経済活動の広域化は顕著であり、"島は一つ"の意識のもとで、3町の連携による取組が望ましいと思われる施策メニューは増えつつある。今後、行政に対する効率的なサービス提供への要請が一層高まり、かつ、高齢化のさらなる進行や財政事情が厳しさを増していくであろうことなどを踏まえると、島としての一体的整備・振興のためには、3町の連携強化や一体的施策の展開などが不可欠の状況となっている。
このような環境変化を受けて、大崎上島3町は、3町連携事業実施の基本方針として、大崎上島振興協議会による「集落・生活拠点整備計画(活性化計画)」(平成10年1月)が策定されている。この計画は、
・3町連携のまちづくりの方向性・将来像
・まちづくりのイメージ
・ハード・ソフトにわたる重点取り組み事項
・ハード・ソフトにわたる重点事業
・重点事業にかかる費用 など
についての検討を行ったものである。そこでの検討は、既存事業、特にハード事業主体となっている。
そのため、本調査研究は、大崎上島を構成する3町の行政施策及び住民活動について、3町連携のあり方及び共同で取り組むべき重点事業のメニュー化を試み、その実現方策を検討・提示することを目的として実施するものである。