第7章 推進に向けて
1 「心豊かな対」を実現するために
この計画は、村民一人ひとりの生活を支え、安心して暮らせる村づくりのために策定された。そして、その中で「地域コミュニティの再生」を打ち出した。
村民一人ひとりを支えてきた保健、医療、福祉は、ある程度のレベルの向上が図られてきた。しかし、時代の移り変わりの中で、行政だけでは村民が求める生活の豊かさに対応しきれない状況になってきた。つまり従来の縦糸、機能主義のの考え方ではなく、1つの事柄にいくつもの意味と可能性を持たせて行うこと、すなわち縦糸をつなぐ横糸の考え方が求められてきている。
横糸の考え方とは「心の豊かさ」をつなぐものである。地域の中で「自分たちでできること」や「アイデイア」を出し合い、高齢者や障害を持った人にとって何が必要なのかを把握し、お世話をする人とお世話をお願いしたい人が気軽に声をかけられる村をつくろうということである。
そんなことは今でもやっている、ひとこと言ってくれればやるのに、と思っている人は多いと思う。しかし、「お願いします」と大きな声で呼び、行動できる人はよいが、そうではない人はいつまでたってもだれも助けてはくれない。あるいは、助けを求めることに対して、周囲への気がねやわだかまりがもとで、実際には助けを求めることができない場合も多い。それゆえ、そうした社会的・心理的な要因を払拭しつつ、ともに支え合う地域社会をつくっていきたい。そのために「地域コミュニティ」の力が必要なのである。
競争社会が進み、「いやす」ことができる場所が少なくなってきている。いつも気を張っているばかりではなく、ホッとできる場所が、今や子どもから高齢者まで必要になっている。小さな山合いの、しかも高齢者が多いという土地柄だけに、その良いところを活かしたやさしさをもった村づくりを進めたい。
2 マンパワーの育成と協力体制
やさしさをもった村をつくるためには多くの人の賛同と参加が必要である。そのためには、むらづくりに参加しやすくなるきっかけづくりを進めなければならない。ボランティアの講習会や組織化は有効な手だてであり、社会福祉協議会の充実は、そういったことを支える意味で重要である。