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(2) 生ごみ資源化モデル事業の提案

 

本区における生ごみ資源化システムの構築をすすめるにあたって、システムの課題や効果を検証し、必要なデータを得るために「練馬区生ごみ資源化モデル事業」を実施する。

 

近年、各地方自治体の生ごみ対策事業は、各自治体の熱心な取り組みで大きな盛り上がりを見せている。各地方自治体の生ごみ対策の方向は、それぞれの置かれた立場や経緯により様々であり、まさに百花繚乱の様相を呈している。しかし、一般家庭の生ごみを堆肥化し、地域内の農家に継続的に提供していこうとする試みは多くはない。練馬区と同じような都市的地域環境にある自治体における、一般家庭の生ごみ堆肥化は、大阪府河内長野市や東京都青梅市、同東村山市などで行われているが、これらの各市でも、地域内の農家に堆肥を継続的に供給するシステムとはなっていない。

さらに、都市的環境にある自治体で、できた堆肥を農家に提供するシステムを確立させているのは、京都市と東京都北区の事例が有名である。ところが、京都市の場合は剪定枝とビール滓から作る堆肥であり、北区の例は学校給食の残滓からつくった一次加工堆肥を群馬県の提携農家に供給しているものである。京都市、北区の事例とも非常に理にかなったシステムを構築しているが、本区で考えている一般家庭の生ごみの堆肥化事業とは異なる。一般家庭の生ごみから作った堆肥を地域内の農家に継続的に供給するシステムを確立しているのは、専ら農業地帯の自治体である。都市的環境下で、一般家庭の生ごみ→堆肥化→新鮮で安全な農産物の生産→消費者への供給という循環を成立させるためには、新たな領域を開拓するパイオニア精神が求められる。

しかし、パイオニア精神があれば、事業構築が可能というわけではない。事業実施のための社会的・経済的基盤が成熟しているか否かが一つの条件であろう。本区の特性に見合った事業構築をしていくためには、「練馬区生ごみ資源化モデル事業」を実施し、その検証を通して、より適切な生ごみ資源化システムを作り上げていくことが必要である。

なお、「練馬区生ごみ資源化モデル事業」(図表7-2参照)を構築するにあたって、配慮した事項は次のとおりである。

 

○ 練馬区は、23区最大の経営耕地面積を有するが、農業は、産業としてシェアは小さい。そのため、中山間地域におけるような、農業を中心とした発想や考え方はなじまないが、区民の農地保全意向など区内農業に対する関心は高い。

○ 生ごみ処理のためにオープンスペースが必要であるが、オープンスペースの確保が難しい。

○ 住宅の密度が高く、住民は、臭気とか騒音問題に比較的敏感である。

○ 区内道路は、細街路などが多く、道路交通事情が万全とはいえない。

 

 

 

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