(3) 富岡市
ア 富岡市/中心市街地再生の課題
富岡市の中心市街地は様々な歴史的資源が散見される一方、商業地や飲食街は地盤沈下しており、土地区画整理事業に対する地元意向も反対者が多く、明確な方向をみいだしにくい状況にある。現況やヒアリング調査の結果をふまえ、以下の諸点が再生の課題として整理される。
1]中心市街地の町並みは、建物が古く老朽化してはいるが、富岡製糸場の歴史とともに門前町として栄えてきた街の歴史性を残しており、街なかの細い路地や蔵などは、それ自体が街の魅力である。
まちなか再生(土地区画整理)事業については、これらの既存のまちの成り立ちとの整合性、また、地元商業者の今後の営業意向や、住民の居住意向などを十分にふまえながら、防災条件の向上や一定の交通条件への対応を図っていくことができるかが重要な課題となっており、地元との十分な協議の中で答えをみつけだす努力が求められている。
そのための検討の場、組織づくりが当面、活性化基本計画の策定とあわせ重要な課題となる。
2]片倉工業が所有する旧官営富岡製糸場については、民有地ではあるが再生にとって最重要拠点と位置づけられ、かつ、活用事業を行えばすぐにでも大きな効果が期待される。
また、官営富岡製糸場の保全に寄せる片倉工業の高い理想と理念を市民が認識し、NPO活動や近代化遺産ファンドの創設などに活かしていく必要がある。
3]都市の人口規模に照らし、コンパクトな中心市街地であり、外からのアクセス条件の向上とあわせ内部的には歩行者空間のネットワーク形成をベースに回遊性の高い空間づくりの実現が課題となる。
4]中心市街地の魅力づくり事業とともに新たな都心居住の若者から高齢者までのライフスタイルに対応した住宅供給を再開発事業などの中で推進し居住者の拡充を図っていく。