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第2章 中心市街地再生の計画

 

本章では、市町村が市民や地元商業者と協力して、中心市街地再生の計画づくりを進めるための指針を、基本的な方向として、調査結果の例示などを交えながら整理している。

 

1 衰退の現状と再生の課題の把握

中心市街地の活性化に向け、まず必要になるのが、衰退の現状に関する市民の共通認識であり、様々な視点からの分析・検討を通じ、中心市街地がおかれている地域の現状を確認する必要がある。

このような検討作業は、従来、計画作成の一環としてコンサルタントが行う場合が多いが、そういった場合においても、市民や行政がその結果について十分な意見交換を行う中から共通の認識を作り上げていく必要があり、より積極的には、共同の作業としていくことも検討したい。

その場合、それぞれの経験や立場の違いをふまえ、より効果的な結果に結びつくように、異なる視点から多角的に現状をとらえていくことが重要である。

 

(1) 都市圏と都市の動向を把握する

衰退の現状把握は、まずア、イの2つの事項のもとで進める必要がある。

ア 都市圏の動向を把握する

中心市街地は、都市および都市圏の中心として、広域的な影響力を持っており、中心市街地の衰退が、単にその地区内の要因のみで生じ、その影響もその地区の中のみに限定的であることは考えにくく、最近いわれている郊外との関係のみでなく、都市間の競争や都市圏そのものの盛衰とも密接に関わっている。

とくに、商業の再生に向けた都市戦略や交流人口の拡大戦略を組み立てるうえでは、以下に例示する指標からの分析が、重要な検討事項となる。

 

○都市圏全体のポテンシャルを把握する

・都市圏の設定/諸指標の検討から、なるべく実体的な圏域を設定する

・都市圏のポテンシャル指標/人口集積、都市機能集積、商業集積 等

○都市圏の構造を把握し、中心市街地の環境変化を分析する

・通勤・通学流動/人口の転入・転出/商圏(1次、2次商圏等)/通院圏 等

・都市圏の特性/自律性、自然環境や歴史

 

 

 

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