資料
ルーマニア憲法
(1991年:抄訳)
第1章 一般原則
第5条(3)領土は、行政面において、コミューン、町、県に組織される。法律に則って、いくつかの町は、市と宣言される。
第5章 公共行政
第2節 地方公共行政
第119条 地方自治体の公共行政は、地方自治の原則及び公共サーヴィスの分権化の原則に基礎を置く。
第120条(1)コミューン及び町の地方自治を実施する公共行政機関は、法律に基づいて選出されるところの地方議会と首長である。
(2)地方議会と首長は、法律の範囲において、自治的行政機関として機能し、コミューン及び町の公共問題の解決を図る。
(3)(1)に定められる諸機関は、市の領域的行政の下位単位においても、組織できる。
第121条(1)県議会は、県益の公共サーヴィスを実施することを目的として、コミューン議会と町議会の諸活動を調整するための公共行政機関である。
(2)県議会は、法律に基づいて選出され、機能する。
第122条(1)政府は各々の県の県知事及びブカレスト市知事を任命する。
(2)知事は地方における政府の代表であり、省及びその他の中央諸機関の出先機関が地方自治体において行う公共サーヴィスを指導する。
(3)知事の権限は法律によって定められる。
(4)知事は、県議会、地方議会、ないし首長の行為が違法と考えられる場合には、それらを行政訴訟裁判に訴えることができる。訴訟された行為は、法律に基づいて停止される。
第4章 経済と公共財政
第135条(3)公共財産は国家ないし地方自治体に所属する。
第137条(1)全国公共予算は、国家予算、国家社会保障予算、コミューン、町及び県の地方予算を含む。
(*全国公共予算とは、国会、大統領、政府、裁判所などの公共機関の予算やルーマニア・アカデミー、科学研究所などの公共機関の予算とは異なる。Constitutia Romaniei,Regia autonoma "Monitorul Oficial″, Bucuresti, 1992, p.298.)
(2)政府は毎年国家予算案と国家社会保障予算案を作成し、別々に議会の承認にかける。
(3)国家予算法及び国家社会保障予算法が予算執行期限の3日前までに採択されないのであれば、新しい法律が採択されるまで、引き続き前年度の国家予算と国家社会保障予算が適用される。
(4)地方予算は法律に従って承認され執行される。
(5)いかなる予算執行も、財源の確保なくして承認され得ない。
第138条(1)関税、税金及びその他のあらゆる国家予算や国家社会保障予算にとっての国家収入は、法律を通じてのみ定められる。
(2)関税や地方税は、法律の範囲内において、また法律に則って、地方議会ないし県議会が定める。
(翻訳:六鹿 茂夫/静岡県立大学大学院国際関係学研究科教授)