ところで、県議会選挙は、1991年の地方選挙法では間接選挙と定められていた(旧地選法第1条)。同法によれば、県議会選挙は、県内の基礎自治体議会が成立した後30日以内に、議会選挙人団による間接選挙を通じて行われる。ここで、選挙人団とは、県内の基礎自治体議会議員全員によって構成される(同法第71条)。県内の基礎自治体議会で議席を獲得した政党ないし政治組織及び無所属議員は、県議会選挙のための候補者リストを提出できる(同法第73条及び第75条)。選挙が成立するためには選挙人の3分の2以上の投票が必要で、この条件が満たされない場合は第2回目の投票が10日以内に組織される。第2回目の投票では、選挙人の過半数の投票が成立要件となる(同法第84条)。当選者は第66条に即して(後述)、比例代表制に則って決定される、とされた(同法第85条)。
ところが、1996年に地方選挙法が改正された際(現行法では)、県会議員選挙が間接選挙から直接選挙へと改められ、他の地方議会選挙と同じ様式で行われることなった。県議会議員の間接選挙に関しては、それまで大都市もコミューンも共に不満を抱いていたと言われ、直接選挙への切り替えはそのような不満を反映しての改正であったと推察される。すなわち、大都市にとっては、小都市やコミューンの数が多いために間接選挙はそれらに有利な選挙システムと映ったが、他方小都市やコミューンにとっては、大都市が多くの人口を抱えているが故に、県議会議員の間接選挙はこれら大都市の利益を過剰に多く代表する選挙システムと見られた(20)。
選挙制度そのものは、比例代表制を基本としている。したがって、当選議員の確定は、2段階に分けて行われる。
第1段階では、まず、各々の選挙区の候補者リスト及び無所属候補者に投票されたすべての有効投票数を、当該選挙区の議員定数で割った、選挙指数を割り出す。次に、各々の候補者リストに投票された有効投票数に含まれる選挙指数の数(有効投票数を選挙指数で割った際の整数-筆者注)を当選議員数として割り当てる。無所属候補には、選挙指数を上回った候補を当選とする。
次に第2段階において、各々の政党別の選挙リストで使用されなかった余乗投票数の多い方から少ない選挙リストへ1人ずつ順番に当選者を振り分けていく。それでも定数に満たなかったときは、この作業を繰り返す(現行地選法第77条/同旧法第66条)。
落選した候補者は各々のリストにおける補欠とし、議員に空席がでた場合、その同じ選挙リストの補欠で埋める。