(4) 樹木単体でのCO2固定量の推定
光合成の最終的な反応式では、6つのCO2からひとつの多糖類C6H10O5が生成されると表現できるので、分子量6×44:162=1.63:1となり、簡単には植物の乾燥重量を1.63倍すればCO2固定量を算定できることになる。
木質部の乾燥重量は胸高直径と相関があり、ほぼ樹種を問わず胸高直径で乾燥重量を推定できる。乾燥重量に1.63を掛けたものが、累積CO2固定量となる。
幹乾燥重量の年増加量は、各樹齢における幹材積(年成長量)に容積重を乗じて求められる。この値と、年間胸高断面積成長量との間には、樹種毎に相関が高い。これらの値から、樹種毎のCO2固定量を求めることができる。
(5) 樹木の形状とCO2固定能力
樹木の枝葉が地面を被う面積(樹冠投影面積)を求め、この面積当たりの累積CO2固定量を試算すると、樹高の増大とともに樹冠投影面積も増え、面積当たりのCO2固定量も増える傾向にあるが、この日定量は樹高7〜10m付近で極値を示す傾向があるという。樹木によるCO2固定に関し効率的な空間の使い方あることが示唆される。
4 都市の緑についてどう考えるか
森林以外の「その他」の吸収源について、国際的に認められていくかどうかは今後の検討として、都市の様についてもCO2吸収固定量を把握しておく必要がある。
(1) 都市の緑のもつ間接的な効果
都市の緑には、ヒートアイランドの緩和などの効果が確かめられており、夏季の空調に必要な電力消費量の削減にもつながる。都市の緑には間接的なCO2排出抑制効果も期待できる。緑地の気温低減効果と建築物緑化による屋内への熱流入量減少効果について、信頼できる原単位と統計量を用いて計算することができる。