厚生省から示されている介護度別の給付額を乗じて年間の給付額を推計した。なお、施設サービスの種類ごとの入所者は推測で分けてある。
保険者費用負担推計は、この在宅サービス、施設サービスに係る保険給付額を公費50%、保険料50%(第1号被保険者、第2号被保険者)の負担割合で計算した。なお、調整交付金については、高齢化率と高齢者の所得によって割合が決まるので、その団体の状況に応じて割合を変えてある。
(ウ) 4団体の事業ごとの財政構造の変化
図表2-15は、団体ごとのホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームの介護保険導入時の財政構造の変化を試算してグラフ化したものである。なお、現在の事業量に変化がないものとして「現在」と「介護保険導入後」で比較している。
まず、ホームヘルプについては、現在の事業をそのまま続けるとすると全ての団体で不足額が出ることになる。この不足分の対応策として考えられるのは、都市部では、委託で行っている事業体に経営努力を要請することが考えられる。しかし、過度の経営努力で倒れても困るので、多少は市町村のバックアップが必要かもしれない。デイサービスも同様に不足額が出てくることが予測される。
ショートステイ、特別養護老人ホームについては、1割負担や食費の自己負担が入ってくるため市町村の負担は減り、余剰が出ることが予測される。しかし、特別養護老人ホームなどは職員の配置基準が変更されることや、どういう状態の高齢者を入居させるかによって収入が大きく変動するので、必ずしも余剰が出るとは限らない。