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3] その他の問題点

プロジェクトの収益性が重視されて経済効率にのみ焦点があたるので、公的インフラの質や安全性、環境対策が軽視される可能性がある。また資金の回収をあせるあまりに料金設定が高くなることで、国民生活の圧迫や経済成長への悪影響が出たり、適切な維持管理が軽視されるのではないかという懸念がある。更にPFIのみが推進されると、公的インフラネットワークの中で低採算のプロジェクトが取り残されていく可能性も否定できないところである。

 

(オ) PFI方式の導入の背景(イギリス)

イギリスでは、80年代にサッチャー保守党政権のもとで「小さな政府」が指向され、規制緩和や国営企業の民営化が進められたが、80年代末期には公共事業への民間活力の導入という考え方が芽生え、92年度にPFI導入が決定された。

イギリスPFIのストラクチャー(図表2-5参照)・目的はBOT方式と似ており、公的セクターの公共事業において民間企業の経営ノウハウを活用し、効率的な運営を図る点では同様である。更にBOT方式を採用している発展途上国では、民間企業が資金を調達することにより公的対外債務を増やさずに公的インフラ整備を進めることが図られているが、PFIが導入された当時のイギリスにおいても財政支出を増やさずに公共事業の整備を進めることが求められていた。海外、国内の違いはあるが、政府が資金を調達して公共事業を行うことが困難となっていたことが背景にあった点では同様である。(図表2-6参照)

 

(カ) PFIの実例

実例としては、道路におけるM1―A1プロジェクト(内容については図表2-7参照)、があり、その他に行政がサービスを購入するケースとして刑務所、病院がある。刑務所の多くは、運営・保守を警備会社が担当しており、病院の場合は、施設の運営・保守は外部業者が行うが、医療サービスは病院本体が行っている。(図表2-8参照)

 

 

 

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