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序章 調査の概要と目的

 

各種コンベンション(会議、見本市、シンポジウム、イベントなど)は、開催による国際相互理解や経済波及効果への期待から誘致競争が国内外を問わず厳しくなってきており、各都市それぞれの取り組みがさかんに行われている。

関西圏では京阪神をはじめ大規模コンベンション施設が各地域に設置されており、これらコンベンション施設、コンベンションビューローは自治体と一体となって誘致活動を行っているところである。しかし、コンベンションの誘致活動にはまだ改善の余地があり、また、地域開発・観光振興との一体的な取り組みということに関しては遅れている面がある。

わが国においては、平成9年6月に「ウエルカムプラン21」を推進する外客誘致法が公布・施行され、各都道府県が共同で外客来訪促進計画を策定し、地域の特色を生かした国際観光テーマルートの設定、外客受入体制の整備、旅行費用の低廉化、接遇の向上等の施策を総合的に展開する準備を進めている。関西圏では、歴史、文化、自然、都市などの恵まれた観光資源が豊富に存在し、ほとんどの観光需要を圏内で満たすことが出来る優位性に着目して、大阪府を除く1府6県が共同で外客来訪促進計画を策定し、関西の魅力を海外に強くアピールするため、近畿運輸局主導のもと、大阪府も含めた2府7県が連携して外客誘致と国内観光振興を一体として取り組んでいるところである。

国際コンベンションの誘致競争が激しい現状では、コンベンション施設や関連サービスのクオリティの向上とともに、それを補完する要素としての観光魅力を効果的にアピールし、コンベンション開催地としてのトータルな魅力を高めていくことが求められている。

また、コンベンション統計では、関西圏での開催件数は順調に伸びているようにもみえるが、他圏域と比較した場合に、関西圏の経済力やコンベンション施設等国際交流基盤の整備状況に照らし合わせれば、その持てるポテンシャルが十分に発揮しきれていないといえ、数に限りのあるコンベンションを、国内他圏域との争奪戦の中で、いかに関西圏での開催にこぎつけるかが重要である。このような現状を踏まえると、当面の課題として次の3点を挙げることができる。

1] わが国で開催される国際コンベンションの主催者(そのほとんどは日本の組織・団体である)に開催地としての関西の魅力をいかにアピールするか。

2] 国際コンベンション参加者の満足度をいかに高めるか。

3] 国際コンベンション参加者の足をいかにして周辺の観光地に向けさせるか。

 

本調査では、このような課題を踏まえ、コンベンションの主催者を対象に開催地の決定要因等についてヒアリングを行うとともに、関西圏で開催される主要コンベンションに参加する外国人参加者に国際観光テーマルートを紹介するガイドブックを無料配布して、コンベンション施設・関連サービス等に対する満足度とアフター/オフコンベンションの観光行動等の実態を把握するアンケート調査を実施した。以上の調査結果に基づき、関西圏への国際コンベンション誘致方策とコンベンション参加者を対象とした観光振興のあり方について検討するため、当センター内に、コンベンション支援団体・旅行エージェント・地方自治体・近畿運輸局で構成する調査研究委員会(座長 稲葉一雄 近畿運輸局企画部長)を設置した。

 

 

 

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