(4)港頭地区の物流事業活性化の参考となる事例
○さらに進む素通り化
・今回、インタビュー調査を行った神戸港の物流事業者各社は、道路などのインフラ整備、内陸部での荷主施設の整備が進んできたこと、荷主企業が工場の海外移転等による余剰人員を活かした物流部門の内製化への取り組みが活発化していること等により、物流事業者は神戸港は港頭地区の素通り化が進展している(食品検査が発生する青果物を除く)といった認識がある。また、この様な傾向は今後もコスト面での競争が激化し、素通り化は概ね一層進展すると考えられている。
○流通加工業務の拡大と充実
・港湾物流事業者ではリパック、青果物のカット、ジュースの製造、検品、仕分け、解凍、詰め合わせなどの細かいレベルでの多様な流通加工業務が行っている例が見られた。
・流通加工業務は荷主の要望も強く、今後、さらに新たな流通加工業務への展開に加え、荷主企業の商品管理システムとのネットワーク化により流通加工業務の高度化を図っていきたいといった事業者も見られた。
・その一方で、流通加工業務は利益率が低い、効率的に業務を実施するほど物量がまとまらない、荷主のニーズが非常に細かいものになってきているなどが問題点としてあげられている。
○物流サービスの一貫体制を構築
・施設を整備しただけでは荷主に利用してもらえない状況の中で、より積極的に荷主ニーズに応えていくために、在庫管理・店舗配送まで一貫した形での業務の実施、情報提供まで含んだ形での一貫輸送の実施、輸入計画のプランニングの実施などにより、一貫した物流サービスを構築しようといった取り組みが進められている。
・実施する上での問題点としては、流通業の在庫管理システムへの対応、内陸部での宅配メーカーとの競争、一貫して業務を請け負うためリスク管理が困難になることがあげられている。
○サービス時間を拡大
・青果物は到着したその日に出荷する必要があることから、荷主ニーズや貨物特性に応じ、24時間オープン、休日オープンなどサービス時間の拡大に取り組まれている。