(4)港頭地区の物流事業の活性化を図るために注視すべき事項
○輸出入ともに港頭地区をほとんどが素通り
・A社では、内陸部施設の利用が進んでおり、輸出入ともにほとんどの貨物が港頭地区を素通りさせている。
・B社では、輸出のLCL貨物のみ港頭地区を利用しており、輸入貨物では全般的に港頭地区を素通り化させ、内陸部の施設を利用している。
○自社でのバン出し・バン詰めが進展
・C社では取扱品が特殊なものであるため商社に業務を任せているが、再梱包が困難であること、デバンの際の品質維持が困難であること、またハンドリングの回数を減らすことから、取扱量が多く、継続的に見込める貨物に関しては、自社でバン詰め、バン出しを行うようにしている。
・輸出貨物を中心に扱うD社では、危険物を取り扱うためこれまでは特定の海貨業者に全面的に業務を委託していた。
・コストがかからない、工場ですぐに利用したいことなどから、D社においても最近、非危険物の自社工場でのバン詰め・バン出しが開始された。D社は、今後、物流コスト削減の観点から、海貨業者への値下げ交渉、梱包形態の変更を従来通り適宜行っていくことに加え、この様な自社での非危険物のバン詰め・バン出しの拡大を検討していく見込みである。
○3国間貿易、見込み輸入といった特殊なケースで利用される港頭地区
・A社では織物生地の3国間貿易が進展しつつあるが、この場合、急に輸送先が変更されるケースも多く、港湾に近い場所(港頭地区)にストックポイントを持つと対応がスムーズにできることが指摘された。
・また、同社では海上輸送のコストを下げるため、一括して見込み輸入を行う場合があるが、これに対応した施設を内陸部に設けるとかえってコスト(陸送費、施設整備費)がかかるので、この様なケースでは、港頭地区の施設をバッファー(波動の受け皿)として利用している
・B社では港頭地区を利用するのは、検疫が必要な貨物を扱う場合や、需要のピーク時のバッファーとして施設が一時的に必要なときなど、限られたものとなっているとの指摘があった。
○内陸部施設を使用するメリットはコスト面・サービス時間面で優れること
・A社では内陸部施設を利用するメリットとして、人手の確保が容易であること、複雑な配送ニーズに対応できること、関連業務が多様化していること、機械製品などで不良品が多く、荷主の手元での対応が必要であること、夜間の作業等無理が利くことをあげた。