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2. 今後の課題

 

本調査の目指す輸入消費財物流等のあり方を実現するため、下記に関する事項も併せて今後強化を図っていく必要がある。

 

1]輸入商品の流通面でのコスト削減

消費財等の輸入物流の効率化を図る目的は、最終的には近畿圏の消費者に対して良質で、価格の安い輸入商品を提供することになる。このためには、国際、国内物流に加え、本来的には国内の流通構造についても検討を行う必要がある。

本調査では物流面のみの検討を行ってきたが、今後、国内の流通についてもコスト削減等、効率的な取り組みに関する検討、及び方策の実施が必要である。

 

2]地域に集積する卸売業の活性化

近畿圏の都市部を中心に歴史的な卸売業の集積がある。流通革新が進み卸売業のアイデンティティが問われている。当該地域の卸売業も当に厳しい環境にある。消費財輸入の増加により今後とも、本調査の事例で示している広島総合流通センターの共同調達の取り組み等、直接貿易による効率的な海外からの調達が重要な課題になるものと考えられる。共同化、協業化等、当該地域の卸売業の取り組み強化が必要である。また、この卸売業の直接貿易化により当該地域の国際物流経路決定機能が強まることにもなる。

 

3]国際物流と都市間物流との連続性の確保

最終消費者までの物流上において、輸入物流拠点と臨海部、または内陸部の物流拠点までの道路、マルチモーダル、情報ネットワーク等の連続性を確保する必要がある。

 

4]広域国際物流マネジメントの実施

国、地方自治体の財政の厳しさを背景に、投資効果分析等による厳密な公共投資が求められている。また、総合物流施策大綱においても全体としての整合の取れた物流インフラ投資が求められている。

そのためには、近畿圏の広域に及ぶ国際物流をマネジメントする主体が必要となる。現在、関係省庁が集まる連絡会議等が開かれており、今後、ますますこのような調整、マネジメント機能が需要となってくるものと考えられる。

 

5]物流立圏としての近畿ポテンシャルの発揮

物流決定機能を高める必要があるが、実際的にも中部以西の西日本に対しては、近畿圏の港湾、空港のハード施設を介した物流により効率化するポテンシャルは極めて高い。したがって、物流ハンドリング機能に付加価値機能などを付加し、物流立圏としての位置づけを挙げ、地域経済の活性化に結びつけていくことも中長期的な都市活性化戦略の視点として重要と考えられる。

 

6]物流関連人材育成・教育の促進

国際物流における情報化、ネットワーク化、ノウハウの高度化、自動化・機械化等、人材に求められている内容は、近年、特に高度化してきている。また、環境問題、道路交通安全等に関する啓発も重要な課題である。このように、物流に従事する人材が一層知識化する必要がある。このため、リカレント教育等、物流関連人材の育成・教育が今後、重要となる。

 

7]危機管理の面からの代替システムの構築

阪神大震災による神戸港を経由する輸入システムが一時期麻痺したように、今後、危機管理の面からの近畿圏における輸入物流システムも今後、検討する必要がある。

 

 

 

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