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10月30日、国連本部には笑いも、喜びも、尊敬も、尊厳もあった。現代社会にあってはならないスティグマからの解放と希望の約束もあった。「尊厳の確立」は単なる展示ではない。それは人間自身なのだ。強烈なイメージと深く心にしみ通る言葉のかずかず、尊厳および自尊の精神は究極的には恐怖や無知よりもずっと力強いことをはっきりと証明している。

 

『何と言って説明したらいいのだろうか?

「尊厳の確立」!

しかも国連本部での開催!

まるで夢のようだ。

まるで自分が生まれ変わったような気持ちだ。

エチオピアに帰ったら、

きっとみんなにこのことを知らせよう!

われわれは自由になれるのだ。」

 

アレガ・カッサ・ゼレレウ

エチオピア ハンセン病回復者協会会長

 

国連展示について

最初にニューヨーク在住の写真家パメラ・バルラピアノさんが国連で展示会を開こうと発案したとき、どのような意味があるのか、どのくらいの規模になるのか、さらにどの程度の啓発効果があるのか、誰も明確に理解してはいませんでした。この展示は本当の意味で多くの人たちの共同作業の成果といえます。パメラさんの洞察力に溢れた心を打つ写真、世界中のハンセン病回復者から寄せられた数々のことば、WHOから提供された地図や資料、アエラ誌所属の写真家八重樫信之の力強い写真の数々、日本のハンセン病回復者の俳句、日本のハンセン病資料館やアメリカのラザルス・コレクションから貸し出された展示品、DANLEP(デンマーク)、TLMI(英国)、LEPRA(英国)、ALM(米国)、カラウパパ、カービルその他から提供されたすばらしい写真の数々。ハンセン病というきびしい現実を乗り越えた人々の映像やことばを通して、この国連展示はハンセン病の医療面と社会面を結びつけ、啓発の教材として完成しました。

この展示は、1998年7月にハワイのホノルル市庁舎で、さらに1998年9月に第15回国際ハンセン病学会が開催された北京で行われ、今後北米、ヨーロッパ等の各地で展示計画があります。世界の一人でも多くの人たちがこの展示に接する機会があることを願っています。

 

 

 

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