これまでの成績を累積して作製したのが、図1-3に示すスケッチマップである。これらを村落ごとに見てみると、まずMalaboでは、村落のほぼ全域にわたって抗体陽性者が分布していた。これはMalibaguhan Creek、Dangongo Creek、Javier Swampなどの中間宿主貝コロニーが、居住地域の近くに存在していることが原因と考えられた。陽性者の割合でみても、Malaboの住民が、近隣の本症浸淫地と比べて高い陽性率を示したことは、これまでにも報告してきた通りである。
次にSan Pedroの状況をみてみると、抗体陽性者の分布がまばらであることが分かる。村落内にはいくつかの小川や用水路が通っているが、これまでの調査ではく規模の大きな中間宿主貝の生息地は、少なくとも住民の居住地域付近では発見されていない。
最後にSan Narcisoでは、Borbocolon Riverに沿って抗体陽性者が多く分布していることが明らかになった。抗体陽性者の多くは、この川の水との接触によって感染したものと推測された。なお、この川はJavier Swampとつながっているが、この湿地帯は中間宿主貝のコロニーであることが分かっている。これらBorbocolon RiverおよびJavier swampの水系が、San Narcisoの住民への主要な感染の場であると考えられた。