4.6 強度試験結果
ストレンゲージによる計測点24カ所(弁箱22点、ふた2点)について、設定圧力毎にひずみ量の計測を行い、主応力の値を求めた。なお、ストレンゲージによる計測点を図16に示した。
4.6.1 主応力図
主応力分布を有限要素法(FEM)解析結果とともに図17に示した。
4.6.2 各計測点での主応力の値
圧力21.0kgf/cm2の時の各計測点での主応力を図18及び19に示した。
4.6.3 強度試験に対する考察
図18及び19に示したように、最大主応力のかかる位置は歪みゲージ番号8番と23番であった。
これは有限要素法(FEM)解析結果と一致する。試作案のA3、A4各2点の主応力を表30に示した。
次に計測結果から、安全率Sを求めた。安全率についても同様に最大主応力のかかるストレンゲージ番号8番と23番における主応力に対しての値として求めた。同じ鋳型から造られた弁であっても均一に鋳造されないため、各モデルにつき4点の平均値としての安全率を求めた。この結果、試作案の安全率は約17.2となった。強度的には、安全率は業界の推奨値である8の値を充分に越えているので、問題はないものと考えられる。
なお、主応力について、有限要素法(FEM)解析値と比較すると、試作案の場合歪みゲージ番号8番23番の位置での値が実験計測値23.2MPaに対して、有限要素法(FEM)解析値はそれより大きい43.9MPaの値となった。これは、有限要素法(FEM)解析の場合、応力が集中する部分の要素を細かく分割する必要があり、試作弁の場合この部分の要素を大きく分割したためと考えられる。実際のバルブには最大主応力のかかる位置に25mmのアールがつけられているが、有限要素法(FEM)解析においては、このアールを無視したためと考えられる。
なお、試作弁の強度試験にあたって、測定時の圧力保持時間は短時間(数秒〜数10秒)にとどめた。これは、長時間の圧力保持による弁本体、ふたの微小な塑性変形がもたらす誤差をふせぎ、ひずみゲージによる計測の信頼性を確保しようとしたためである。