秋田調査資料4]
モクネットはどんな仕組みでできているか
日本の林業を維持してゆくこと、その山の木で建てた住宅に住み続けること、この山と都市との願いを顔の見える関係で結び付けようと目指しているのが、秋田の杉を都市へ直結するシステム「モクネット」です。
モクネットは木のネットワークという意味です。
モクネットの届ける杉は、秋田県北部米代川流域で植林、製材された杉です。
その特徴は次のとおりです。
1.樹齢は45年〜75年前後で、構造材は高樹齢の太い杉を使用しています。
2.すべて節の有る並材に相当するものです。
3.単純な規格でできていて、造作材、構造材の区別が特にありません。規格は杉の持つ調湿作用と断熱作用を最大限生かすために、ボリュームのある寸法体系になっています。
4.すべて桟積みにして、杉の持ち味を活かすように自然乾燥したものです。乾燥期間は60回〜120回です。
5.床、壁、天井などの内装材は、すべて見せて使うことを前提にしたものです。
これらの杉が、米代川流域のストックヤード、製材所、工務店、運送会社のネットワークによって届けられるシステムがモクネットです。モクネットの考え方を理解していただければ、どなたでも利用することができます。
モクネットの考え方にもとづいた木造住宅
モクネットの杉を使って、次のような木造住宅を造り続けたいと考えています。
1.柱や梁を見せる真壁構法の家。そのような住宅を「山が見える木造住宅」と位置づけています。山が見える住宅であってこそ、林業を維持してゆくことができると考えるからです。
現在主流の柱や梁などが表面にあらわれない大壁構法の住宅では、住まい手に山や林業にたいする意識や関心が育たないと共に、山にも木を育ててゆく意欲がわきません。
2.ボリュームのある杉を使うことで、調湿や断熱の効果が高まって、断熱材や機械力に頼らない省エネルギーの快適な住まいができます。
3.自然の素材である木となじみの良い、土壁、ゼオライト、珪藻土などの材料や木創壁紙などとの組み合わせで、さらに快適な住まいにできます。同時にそれは環境に負荷の少ない住まい、生活スタイルを目指すことを考えます。
4.伝統的な技術を基本にした、丈夫で長持ちのする新しい構法を開発してゆきたいと考えています。
以上のような考え方に基づいた住宅を、伐った杉と同じ年数使いつづけることで、山の維持と、快適で良質な木造住宅の維持が可能になると考えています。