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(3) 参考になる本や資料の紹介

 

今回の研修会では閲覧資料を会場に並べましたが、「古い野鳥誌は持っていない人もいるのでコピーして欲しい」「参考になる資料の一覧や紹介が欲しい」という声がありました。参考になる本などを毎号、紹介していこうと思います。

 

インタープリテーション入門(自然解説技術ハンドブック)

 

著者:キャサリーン・レニエ/マイケル・グロス/ロン・ジマーマン

翻訳:倉野雅子/ホーニング睦美

監役・解説:日本環境教育フォーラム

発行:小学館(1994年6月10日初版)

価格:1553円(税抜)

 

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インタープリテーションという言葉は、「手引き」128ページで触れた通り、日本語では自然解説と訳されます。アメリカの国立公園でのガイドや教育活動で広く使われており、日本でも、今日、しばしば使われるようになりました。本書はその歴史や背景に始まって、基本的な概念、心構えから、具体的な技術を紹介したものです。

第1章「歴史と理念」の「インタープリテーションの基礎を築いた人たち」という節で、例えば、イーノスA.ミルズ(1870〜1922)の言葉として「インタープリターは自然界の不思議を人々に紹介できるナチュラリスト…、物知りでなくてもかまわない…味気ない情報や知識ではなく、自然の大原則を素材として人々に興味を起こさせるのだ」と紹介されています。

続いてフリーマン・チルデン(1883-1980)が登場します。彼はインタープリテーションを「単に事実や情報を伝えるというよりは、直接体験や教材を活用して、事物の事象の背後にある意味や相互の関係を解きあかすことを目的とする」と定義し、6つの原則を提唱していますが、今なお、基準として広く認識されています。今回の研修会や「手引き」で示したバードウォッチング案内についても、「相手の立場に立ち、楽しいバードウォッチング体験のお手伝いをきせてもらうことを通して、共存の考え方を伝える」という趣旨で、チルデンの定義や原則からはずれないようにしています。

第2章では「プログラムのプランニング」について、第3章「トーク」では小道具、ユーモア、問いかけと、次第に具体的になり、さまざまな手法が紹介されていきます。第8章では、この研修会を通して質問やリクエストが多かった「子供のためのインタープリテーション」にも触れられており、第9章「評価」では、その方法論に及びます。

いずれも、バードウォッチング案内に直接役立つ内容で、探鳥会でも応用可能な実技が豊富ですので、ご一読をお勧めできるものです。

 

 

 

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