(3) 現場通信
遭難現場での救助船と遭難船又は生存艇間の連絡通信は、MFあるいはVHF無線電話が使用される。そのため生存艇には持運び式双方向無線電話装置が用意される。
(4) 位置表示信号
救助船が遭難現場近くにきたときに、救助船が遭難船又はその生存艇にホーミングをする装置は従来は、無線方位測定機を使用して、送信されている遭難信号の方位を測定する方法が取られていたが、GMDSSでは、遭難船上と生存艇上のレーダー・トランスポンダーが、救助船や救難航空機に搭載されている9GHzのレーダー電波を受信し、その信号をそのまま、又は別の信号を付加して送信し返し、これを救助船のレーダー映像面上に一列の輝点で表示させて発信位置を測定するようになっている。レーダー・トランスポンダーは、送信機と受信機が一体となった装置で通常はレーダーでは捕らえにくいようなレーダー電波の反射の弱いゴム布製の救命いかだなどに備え付けてあると、強い反射電波を出したと同じ効果をもっとともに、その電波が遭難者であることを、その電波を受信したレーダーの映像面上で容易に判定できるような信号として送信されるようになっており、わが国で開発された装置である。このレーダー・トランスポンダーは、レーダー側の空中線の高さにもよるが、数海里以上のところから探知でき、航空機の場合はさらに遠方から発見が可能である。また、トランスポンダーの受信機は、受信したレーダー信号のパルスを音又は光として出力できるので、遭難者側でも、その音又は光によって、救助船などの接近を知ることができる。
(5) 海上安全情報の放送
遭難、航行、気象などの警報と気象予報、水路通報、航法システムなどの情報の放送で、ナブテックス・システムのほか、インマルサット・システムのEGC、HFの狭帯域直接印刷電信でも放送されることになっている。
(6) 船橋対船橋通信
船の安全航行を助ける船舶同志の通信で、VHF無線電話が使用される。
遭難安全通信用の周波数をまとめて表10・1に示す。
