これから述べるレーコンは、特に海上の航行援助用のものを指すものとして区別することにする。
レーコンは、レーダーのパルス電波を受信すれば、あらかじめ定めた符合(モールス符合の内、最初がダッシュで始まる“B”、“D”等の符合)のパルス電波を四方に放射し返すことによって識別ができるようにしたものである。例えば暗礁ならDangerの“D”符号を付与したレーコンをブイに搭載して、標識灯とともに、レーダーにも映るようにすると安全航行に役立つことになる。レーダーのPPI上には、ブイを設置した後方に“---”の表示がなされ、この符号が描かれる最初の地点の近傍に暗礁があることを、自動的に通報することができる。
2・7・3 既存レーコンの型式
(1) 周波数掃引式レーコン
航海用レーダーの運用が許容されている周波数帯は、3GHz帯では2,920〜3,100MHz、9GHz帯では9,320〜9,500MHzであり、周波数掃引式レーコンは、この運用許容周波数帯幅の端から端までをレーコン側の送信周波数をほぼ直線的に動かし、その間にレーダー側の受信機通過帯域幅と交会させて、前記符号化送信パルスを与えようとする低速周波数掃引(上記運用許容周波数帯幅を、約30秒以上から90秒程度の範囲で周波数掃引する。)によって、約1分間前後ごとに、レーダー空中線が1〜3回転する間に前記の符号を与えようとするものと、これよりもはるかに超高速で、同じ様に周波数掃引をし、これを設置した後方に幾つかの点列を映し出す高速周波数掃引式レーコンとがある。(これが後述する捜索・救助用レーダー・トランスポンダーであって、決して新しい方式のものではない。)
ほかにも、上記のレーダーの運用許容周波数帯幅を数等分してステップで周波数掃引を与え、交会時間を短縮したものも実用に供されている。
(2) 固定周波数レーコン
固定周波数レーコンは、レーダー側にこの受信モードを備えたものに適用される。
3GHz帯では2,910±10MHz、9GHz帯では9,310±10MHzがこれに割り当てられているので、このレーコン信号を受信するため、船上には別個の専用受信機又はこの電波を切替え操作によって受信できるように改造した受信機が必要となる。この場合、レーダーの送信パルスの周波数とレーコン信号の周波数とは異なるので、PPI上にはエコーと重なることなくレーコンの信号のみが表示されることになるが、余り現用されていない。