第2章 艤装設計
2・1 概要
受注した工事の範囲に艤装設計が含まれるときは、発注者(造船所又は船主)と十分な打合せを行い、工事を始めてから変更などの生じないようにしなければならない。 艤装設計の内容には通常次のものが含まれるが、発注者の方針や意向により相違する。
(1) 機器やユニット類の配置と取付け方法
(2) 空中線マストの設置場所、高さ、構造等の設計
(3) 導波管経路の設計
(4) 電路設計
(5) 装備用材料や機材の選定と調達
(6) 承認図や工事図等の作成
(7) 運輸省と郵政省の検査を受検するための書類作成
2・2 一般的事項
2・2・1 接地
接地とは、アース又はグランドともいい、船舶では、船体と同電位にすることである。これは、絶縁された外被や箱体に、導電部が接触したときに起こりうる火災と感電による被害を防止すると同時に、機器の動作に必要な基準電位を保つためでもあり、また、箱体やがい装ケーブルの周囲にある高周波妨害電圧が、電子機器に悪影響を及ぼすのを防止するためにも、機器設置の際絶対に欠かすことのできない重要な工事の一つである。
レーダーのような送信と受信を同一の機器で行うような場合には、外部に妨害を与えず、また、外部の機器からの影響を防止するために、艤装工事のときに、天井や壁の内の配線等を含め十分な接地を行っておかなければならない。
(1) 空中線部
空中線部は通常レーダーマスト上の支持金物(鉄材)に取付けボルトによって固定されるが、絶縁性支持物等を介して、固定される場合もあり、このようなときには接地が不完全になりやすいので、適当な導体を用いて接地しなければならない。
そのためペデスタル部(回転部を支えている箱体)に、アースバンドを設けているメーカーもある。
一般に、接地接続は、ケーブルの電流定格に応じた断面積をもつ導体、又はケーブルの金属被覆をつかむ金属クランプのような同等効果のある方法によって行われ、金属船体部に接続しなければならない。ケーブルの金属被覆は、接地目的のために設けられ、かつ、有効な接地が行われるように設計されたグランドによって接地してもよい。