送信が始まると放電電極は放電をして、管の中は短絡状態になって、マイクロ波はこの部分を通り抜けられなくなる。この場合、送信と同時に放電が生じるよう下側のキープアライブ電極でイオンを作り、あらかじめ陽イオンを供給するようになっている。放電管の中には水素ガスと水蒸気又はアルゴンガスと水蒸気が封入されていて、このうちの水蒸気はイオンをできるだけ早くなくするための役を果たしている。また、このTR管はT分岐から1/4波長のところに取り付けられていて、この放電で回路が短絡されると、分岐から見たインピーダンスは無限大になり、送信電力はこの分岐で減衰することなく空中線に導かれる。
これに対してATR管は図7・26に示すように分岐から1/2波長のところの管壁に直列に取り付けられていて、放電が生じない状態では導波管がここで切れているのと同じになり、分岐から見たインピーダンスは無限大となって受信信号が送信機側に行くことが阻止されている。送信によって放電が生じると、この結合口が短絡されたのと同じ効果になって、送信信号は損失なくこの部分を通過する。このほかに送受切替え作用を行うものとして、サーキュレータ型デュープレクサーやダイオードリミッタが多く使用されるようになってきている。