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したがって、次段の入力抵抗RiがRLに並列に加わったことになり、また、エミッタも直接接地されたことになるので、図5・5 の回路と等価になる。結局iCの流れる回路の抵抗分は直流の場合よりも小さくなり、iCとvOの関係は

 

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図5・5 図5・2 の交流等価回路

 

となる。これが交流負荷直線のこう配を表す式で、図5・4 の直線C′D′のこう 配になる。実際の交流負荷直線は直流負荷直線上の動作点Pを通り、線CD平行な直線CDである。動作点Pの位置は、IBの値を調節することにより、直流負荷直線上の任意の位置に設定することができるが、これを交流負荷直線が2等分されるように選ぶと、最も振幅の大きい出力が得られる。同図には図5・2の回路定数の値を元に、実際の数値が記入されている。

一方、図5・6はトランス結合増幅回路と呼ばれるもので、トランスで次段と結合している回路である。PNP形トランジスタを用いているので、電源の極性は図5・2 の場合の逆になっている。この場合は、負荷がインダクタンスであるため、直流に対する抵抗分は小さいが、交流に対しては極めて大きくなる。したがって、図5・7 のように交流負荷直線のこう配が緩やかになるので、動作点PのVCEは電源電圧に近い値となる。なお、トランスのコイルの両端には大きな逆起電力を生じ、VCEの最大値は電源電圧のほぼ2倍にも達するので、トランジスタの最大定格を超えないように注意する必要がある。

 

 

 

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