図4・2 に原子構造の例を示した。電子は原子核を中心とした一定の円軌道を回っていてこの軌道を内側から第1、第2,……第n軌道とすると、各軌道に入り得る最大の電子数は2n2 である。すなわち内側から2,8,18,32……となり、電子はこれらの軌道を内側から順次埋めていく。
図中の原子核の上にある+6,+14,+32の数字は原子核中に含まれる陽子の数を示しており、各軌道を回っている電子の数と等しいことから原子自体としては電気的に中性であることが分かる。
原子核に近い、すなわち内部の軌道にある電子は原子核に強く引きつけられて原子核から離れることはできないが、最も外側にある電子(これを価電子と呼んでいる。)は原子核との結びつきがあまり強くなく、熱、光、電界などのエネルギが加わると、原子核との結びつきから離れて物質中を移動し始める。このことから導体と絶縁物とを比較すると、銀や銅などの導体の価電子は原子核との結びつきが弱く自由に動きやすいので、わずかな電圧を加えても電流が流れるが、これに対して 絶縁物では原子核と価電子の結びつきが強いので、電圧を加えても電流は流れにくいということになる。