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これを受けて翌53年2月ロンドンにおいてタンカーの安全及び汚染の防止に関する国際会議が開催され「1974年の海上における人命の安全のための国際条約に関する1978年の議定書」が採択され、同条約は昭和56年5月に発効し、我が国も同条約に加盟し、関係規定の整備が行われた。

小型漁船(総トン数20トン未満の漁船)の検査については、本邦の海岸から100海里を超える海域で操業する漁船の一部については昭和49年より検査が実施されていたが、昭和53年6月船舶安全法第32条の漁船の範囲を定める政令の一部が改正され、昭和55年4月からは本邦の海岸から12海里を超える海域で操業する小型漁船について検査が実施された。

また、放射性輸送物の運送に関しては、昭和50年1月原子力委員会が、国際原子力機関(IAEA)の放射性物質安全輸送規則(1973年版)に準拠して「放射性物質等の輸送に関する安全基準について」を決定し、所要の法令整備を行うよう勧告したことを受けて、昭和52年11月「危険物船舶運送及び貯蔵規則」の一部が改正され、放射性輸送物の海上輸送の安全基準の強化が図られた。

さらに、原子力船の検査については、昭和53年7月原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規則に関する法律の改正により、原子炉の設置等に関する規制体制の一貫化が図られることとなり、運輸大臣が、実用舶用原子力船及び我が国に入港する外国原子力船について、炉の設置許可から検査まで一貫して規制することとなった。

平成9年6月に、近年の船舶の信頼性の向上にかんがみ、定期検査の間隔を見直し、受検者負担の軽減を図ることを目的として、船舶検査証書の有効期間を現行の4年から5年に延長するとともに、有効期間の延長特例を現行の5月までから3月までとした。

 

3.2 船舶安全法の概要

3.2.1 目的

船舶は、海上において航行の用に供される交通具であるところから、一度港を離れると長期間にわたり陸上から孤立して行動することとなり、気象、海象の変化に伴う特別の危険に遭遇することも多く、陸上のそれに比し一段と安全の確保のための措置を図る必要がある。

 

 

 

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