(d) 動揺、傾斜、振動に対する電気機器の性能は、設備規程第177条の規定による。なお、衝撃に対しても、十分耐えるものとする。
(性能)
第177条 船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気機械及び電気器具は、船舶が縦に10度若しくは横に15度(第6章の規定により備え付ける非常電源及び臨時の非常電源にあっては22.5度)傾斜している状態又は22.5度横揺れしている状態においてもその性能に支障を生じないものでなければならない。ただし、係留船にあっては、管海官庁が当該係留船の係留場所の風、波、潮流等による影響を考慮して差し支えないと認める場合は、この項の規定の適用を緩和することができる。
2. 電気機械及び電気器具は、船体の振動によりその性能に支障を生じないものでなければならない。
(e) 電気設備は、各種の原因による腐食及び電食作用を防ぐため、その装備場所に応じて適切、かつ有効な防食処理、塗装などを行うものとする。
〔説明〕 電食について
異種金属が接触し、又は、海水中で近接していると、電気分解による電気腐食をおこす。軽合金と黄銅、軽合金と鋼などの接触面(例、機器が軽合金製で船体壁が鋼の取付面)の電食を防止するには、接触面にジンクロメートを含んだペーストを塗布するか、又は、それに浸したテープ(座金状のもの)を挿入すること。また、軽合金に接する黄銅、又は鋼のボルト、ナット類は、十分の厚さの亜鉛メッキ、又はカドミウムメッキを施し、クロム酸処理、又は重クロム酸処理を施すこと。ただし、ニッケルクローム鋼のボルト、ナットは、そのまま使用して差し支えない。
軽合金と黄銅の場合は、特に電食防止を怠らぬよう注意すること。
(f) 電気設備は、人体に危険を与えないよう、保安の面から下記の考慮を払う必要がある。
第176条 電気機械及び電気器具は、取扱者に危険を与えない構造のものでなければならない。
2. 電気機械又は電気器具の故障により、その露出金属が帯電するおそれのある場合は、取扱者を保護するための適当な措置を講じなければならない。