日本財団 図書館


(c) 定電圧充電法

ディーゼルエンジン等の原動機の始動に使用される蓄電池に行われるもので充電発電機により、一定電圧で充電する方法で蓄電池の放電状態により異なるが初期に相当大電流で充電し、蓄電池の電圧上昇と共に充電電流が減少し発電機の出力電圧まで蓄電池電圧が上昇して充電が停止完了する。

普通単電池当り2.3〜2.5〔V〕を与え、その電圧を一定に保って充電を行う。この方法はやり易く、電池のためにもよいが最初大電流が流れるので容量の大きな充電装置が必要である。

(d) 準定電圧充電法

電池に直列に一定の抵抗を入れて、単電池当り2.5〜3〔V〕の電圧を供給しておき、始めの電流は小で、ある時間内で終らせようとするときは、電池電圧で2.5〔V〕(単電池当り)のとき、初電流を10〜20時間率の2倍位にして、2.6〔V〕〜2.7〔V〕で1.4倍位、2.8〜2.9〔V〕で1.2倍位とする。

(e) 浮動充電(フローティングチャージ)法

電池と充電装置を並列につなぎ単電池当り2.1〜2.2〔V〕の電圧を加えて、自己放電を補う程度(10時間率の0.3〜1%位)の小電流で充電を行い常に充電状態にしておき、連続負荷及び電池の自己放電量は充電装置より供給し、ある瞬間の負荷電流の増大による大きい電流は電池から供給する。この方法は電池寿命が長くなり、電池数も少くて済み、変動のある連続負荷用として多く用いられる。

 

2・7 整流器と直流-交流変換器装置

 

2・7・1 半導体素子

 

船内で交流から直流へ、また、直流から交流への電力変換用に使用される装置は、ほとんどが次に示すような半導体素子を使用している。これらの半導体素子の主なるものについて概説する。

(1) セレン整流素子

セレン整流素子は多結晶(単結晶の集まったもの。)半導体のダイオードの一種で、図2.68のようにニッケルめっきを施した鉄又はアルミニウムの基板の上にセレンを蒸着により皮膜状とし、これを活性化した後、その上に特殊合金を固着して、電極としたものである。普通のものは放熱板を付けて、自然冷却によって使用される。自然冷却時、電流密度は50〜100mA/cm2であり、1枚当りの逆耐電圧が低い(20〜30V)ので、必要に応じて積重ねて使用する。

 

115-1.gif

図2.68 セレン整流素子の断面

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION