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(3) 抵抗による速度制御

巻線形誘導電動機の二次回路に抵抗を挿入して4速度制御を行う方法で操作も簡単であるので最も普遍的に用いられる。ただし、二次抵抗損が大きくなるため、効率が悪く、また、長時間使用するものに用いられず、負荷の変化により速度が変化する欠点がある。

(4) 二次励磁制御

巻線形誘導電動機の二次抵抗制御法は低速度になるほど速度変動率が大きく、かつ、二次損失が大きくなるため効率が悪くなる。この欠点を補うため二次抵抗の代りに外部から二次電圧と平衡する電圧を与え、その大きさ、位相等を変化させて速度制御を行う方法である。

この方式は巻線形回転子に対してスリップリングを通じて行われるが電動機速度を同期速度の上下に相当広い範囲に制御できる。

(5) 可飽和リアクトルによる速度制御

誘導電動機の一次側又は二次側に可飽和リアクトル、変圧器、可飽和変圧器を特殊な組合せで接続し、それぞれのリアクタンスを関連的に変化させて電動機のトルクを制御し速度を変化させる方法である。

 

2・4・7 三相誘導電動機の単相運転防止

 

三相電源に接続されている誘導電動機の配線に一相切断の状態が生じると、零速度からでは、始動巻線の無い単相誘導電動機と同様に始動トルクが全く無いので、自己始動加速は不可能であるが、ある程度の回転状態にある場合は、図2.48に示すように上昇トルク特性のため自己加速し、ほぼ定格速度に達する特性を持っている。したがって、正常運転中に欠相が生じてもそのままの速度で運転を続けるが、流入電流は単相給電に変わるために、励磁電流分及び負荷電流分ともに三相給電の場合のほぼ倍に増加する。若し欠相運転状態を放置すると、電動機は過電流による事故を生じる恐れが多分にあるので、欠相を起こす配電回路条件の場合及び用途条件が特別に重要な場合には、欠相運転持続の防止又は欠相による過電流保護につき対策の必要がある。

単相運転保護用として過電流継電器形式のものを使用する場合は、いずれの1相の欠相にても有効に保護動作をするものでなければならない。

 

 

 

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