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陰極板(Pb)は陽極板とほぼ同様で、鉛合金製の格子にペーストを充填し、乾燥化成してペーストを活物質化したものである。

電解液は希硫酸(H2 SO4)の水溶液で+イオンと-イオンに電離し(H2 SO4⇔2H++SO4--)電気を伝導する役目をする。

隔離板は陽極板と陰極板の間にそう入し、両方の接触の防止に使用し、かつ、ガラスマットを使用して活物質の脱落を防いでいる。

電槽は耐酸性合成樹脂等で丈夫に製作され、電解液の漏れがなく、絶縁良好で、よく振動に耐えるようになっている。

電解液は精製希硫酸で、その比重はその蓄電池が完全充電状態で20〔℃〕において1.240±0.010を基準にしている。その他詳細はJISF8101(船用鉛蓄電池)を参照のこと。

(b) 起電力は、陽極板と陰極板を互いに隔離して電解液中に浸すと、両極に電圧が発生する無負荷の状態で約2〔V〕である。

(c) 充放電時の電圧は、充電終期において約2.6〜2.7〔V〕放電終期には1.80〔V〕が限度にしてある。したがって、通常(b)のとおり2〔V〕としている。

(d) 容量の表わし方には、アンペア時容量(Ah)とワット時容量(Wh)があるが、一般にはアンペア時容量が使われる。

Ah=放電電流〔A〕×放電時間〔h〕

Wh=アンペア時容量〔Ah〕×平均放電電圧〔V〕

(e) 放電率とは、蓄電池容量に対する放電電流の大きさを表すもので、蓄電池の容量や充放電中の端子電圧はこの放電率によって大きく左右される。鉛蓄電池の場合には、時間率(HR)電流で決められている。

(f) 時間率電流とは、蓄電池を一定電流で所定の放電終止電圧(1.8V)まで放電したとき、一定時間放電を持続することのできる電流の大きさを表す。

船用蓄電池の場合は10時間率電流で決めてある。

 

 

 

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