第6節 アジアにおける港湾管理運営
1 港湾の管理運営に関する基本的考え方
アジアにおいては、最善の港湾の管理運営形態は一律的に規定することができないと言われているよう手法は様々である。しかしながら、今回調査を行ったどの国においても自国の港湾を国際ハブ港に仕立て上げようと運営形態主体にドラスチックな変化が与えられ、また、与えられようとしていた。
台湾においては、行政機構から「省政府」を削除し、国の一組織として直轄の「交通省(仮名)を設け、そのー部門として「港湾局」を新設し、さらにその支局として各港務局を設置する計画である。港湾の効率化による「ハブ・ポート構想」の実現を念頭に、激化する香港やシンガポール等近隣港との競争に打勝っていく為の最も有効な手段の一つとして民営化の導入が進められている。民営化後のポートチャージの決定権については、入港料、岸壁使用料についてこれまでどおり国が、また、荷役料は民間の裁量に任される。荷役料は、これまでは政府決定による統一料金であったが、BOTシステム導入後は、それを上限とすることを条件に基本的にオペレーターが自由決定権を持つことになる。
韓国の釜山港では、シャスンデ、シンサンデ及びKang Mangの3CTに加え、24バースを持つ大型ターミナルGadokを2011年にオープンする計画である。同ターミナルの建設〔運営については、本格的BTO(Build, Transfer and Operate)が採用される。釜山港より160キロ西に位置する光陽港では、釜山港のKang Mang CTをリース契約によりオペレートする4社が98年にも供用を開始すべく建設が進んでいる。また、2001年には8バース、2011年にはさらに12バースの追加建設が計画されており、最終的には都合24バースがGodakCT同様のBTOシステムにより運営されることになる。
シンガポール港においては、シンガポール政府交通省管轄のPSAが港の建設から管理、運営(タグ、パイロット、荷役サービスなど)まで一元的に行ってきた。1996年4月にはPSA業務のうち航行安全対策、各種許認可事務等の官公庁的業務を新しく設立したMPAに集約した。PSAは今年度中には港湾サービスを主体とした100%政府出資のPSAコーポレーションとなる予定。PSAは積極的な海外投資活動を展開しており、今年度は大連にマースクラインと合同で新しいターミナル会社を設立することが決定している。シンガポール港が上記二例と大きく異なるのはあくまでも港湾サービスを民間業者に委ねるのではなく、自らを改革しサービスを提供しつづけようとする姿勢にある。
中国の港湾は泰皇島港を除き省、市が管理する国有港湾である。サービス業務は各地方政府港務局傘下の荷役公司の要員により行われている。ただし、中央政府