第二章 港湾の分類
2-1 分析の基本的考え方
平成8年度より世界の主要港湾(本調査ではコンテナターミナルを考察対象とした。)における管理・運営形態の動向及び港湾の商業的運営の進展状況とその課題についてできるだけ多くの事例を調査することにした。
これらの調査結果を踏まえて各港湾の管理・運営タイプの類型化作業を行い、現時点での管理・運営形態の違いによる特質を考察することとした。更にこの比較を通じて今後の開発途上国における港湾管理・運営のあり方の検討に資することを目的とした。
具体的な分析の手順は以下のとおりである。
(ア) これまでの3ヵ年にわたる調査結果をもとに、世界の主要港湾(ここでは本調査の現地調査対象港に、OCDIがこれまでに調査活動に関わった港湾を加えたものを指す。以下同じ。)における費用負担のしくみを整理する。(巻末資料1 港湾建設維持費用の負担、及びコンテナターミナル運営主体)
(イ) 世界の主要港湾の管理・運営について、主に計画作成、タリフ決定にかかる意志決定権者(組織)について比較する。(巻末資料2 港湾別の意志決定権者の比較)
(ウ) 上記(ア)、(イ)の分析に基づき、港湾の管理・運営主体について以下の通り分類を行った。分類にあたっては、これまでの港湾分類事例(巻末資料3)を参考にするとともに、港湾施設の所有権とその運営権、経営権及び管理権の民間への移転度合いに着目した。
2-2 所有・建設主体別にみた分類
本調査における分類は、港湾の所有と建設主体並びに運営主体による従来の分類に加えて、運営主体が公的セクターか私的セクターかという視点を加えて、大きく以下の4つのカテゴリーに分けた。港湾の所有から運営までの全てに公的セクターが関わる「設備/賄い付き家主型」から、徐々に所有と運営における民間セクターの参加度合いが高まってゆく「家主型」、「定期借地権付与地主型」、そして民間セクターが全てに関わる「持ち家型」までの4区分である。ネーミングにあたってはできるだけ各タイプ毎の特徴の把握を容易にするため、不動産関係用語で統一することとした。(図表2-1)