7.2 排出ガスの削減量の試算結果
試算条件および試算結果を表7-2-1に示す。また、図7-2-1は、共同輸配送をしないディーゼル車に比べ共同輸配送にCNG車を導入した場合の環境改善効果(%)を表したものである。
(1) 地域環境改善効果
表7-2-1に示すとおり、今回の試算条件では共同輸配送をしないディーゼル車に比べ共同輸配送にCNG車を導入すると、NOxは約70〜95%、COは約19〜88%、HCは約37〜92%、PMはほぼ100%近く改善されることがわかった。試算結果より、CNG車は、共同輸配送と合わせ特に、NOx、PMに大きな改善効果があると言える。
(2) 地球環境改善効果
地球温暖化効果ガスとして、CO2、N2O、CH4を対象とし、共同輸配送をしないディーゼル車に比べ共同輸配送にCNG車を導入すると、どの程度地球温暖化効果ガス削減効果があるか試算した。なお、N2O、CH4はCO2に換算して評価した。
今回の試算条件では共同輸配送をしないディーゼル車に比べ共同輸配送にCNG車を導入すると、CO2は約22〜63%削減した。但し、共同輸配送による走行距離の削減効果は約13〜63%であり、ほとんどが共同輸配送による効果である。なお、表7-2-1において、CO2とN2O、CH4の地球温暖化効果を考慮した換算CO2の差はせいぜい1%程度であり、地球温暖化効果ガスへの寄与度は低かった。
7.3 アイドリング時間削減による環境改善効果の検討
アイドリング時間を削減することによって排出ガス削減が期待される。第6章では、D10・15モードにおいてアイドリング時間が燃費に及ぼす影響を検討したが、同様な考え方でシャシダイナモメータ上でのモード試験の排出ガスデータを用い、アイドリング時間削減による環境改善効果を検討した。
図7-3-1は、D10・15モードにおけるアイドリング時間とNOx、CO、HCおよびCO2排出量ならびにアイドリング時間増減率と排出量増減率の関係を表した図である。詳細計算結果は表7-3-1に示した。
アイドリングストップによりアイドリング時間が短くなれば、排出ガス量は当然少なくなる。しかし、ディーゼル車とCNG車では排出ガス量のレベルが大きく異なり、ディーゼル車の排出ガスレベルは高いので、ディーゼル車のほうが低減率が大きい。特にNOxの低減率が大きい。数値的に見ると、アイドリング時間が半分になった場合、D10・15モードでディーゼル車の場合NOxは約4%、COは約5%、HCは約4%CO2は約3%の低減効果があると試算された。CNG車ではNOxは約0.4%、COは約5%、HCは約2%、CO2は約6%の低減効果があると試算された。NOxの低減効果が低いのは、逆に言うとCNG車のNOxがディーゼル車に比べ大幅に低いためであり、アイドリング時間が長い使い方の場合には、ディーゼル車よりCNG車が環境に与える負荷がより小さいことを意味するものである。