試算結果を表6-2-1、図6-2-1に示した。
ディーゼル車を用いた共同輸配送前の燃料費は、共同輸配送による走行距離の削減の効果で、どの事業者においても燃料費は減少している。次に、その状態でCNG車を導入すると、ディーゼル車を用いた共同輸配送に比較し、CNG車は燃料消費率が劣るため燃料費が増加することがわかる。試算条件では、共同輸配送を行わない場合に比べ、燃料費は約47〜119%であったが、ディーゼル車を用いた共同輸配送に対しては、燃料消費率が劣るため、全事業者で悪化傾向にあった。
CNG車の共同輸配送の燃料経済性向上のためには、車両の燃料消費率の向上及び(あるいは)軽油と比較したCNG燃料価格の低減が望まれる。
CNG燃料の小売り価格は、主に原料ガス費、設備償却費、人件費、ガス圧縮電力費、設備修理・保守費、税関係等から構成されており、CNG燃料価格の低減のためにはこれらの諸費用圧縮による価格低減が肝要である。
表6-2-1をもとに、図6-2-2に車両の燃料価格が変化した場合、月間燃料費がどのように変化するかをCNG車、ディーゼル車のそれぞれについて示した。なお、走行距離、燃費等のデータは6事業者の単純平均値を用いた。今回の調査で得られた6事業者の走行距離、燃費等のデータの単純平均値を前提にした場合、このグラフから燃料費が同等になるためには、軽油、CNGの価格がそれぞれどの程度になる必要があるか分かる。
また、図6-2-3に車両の燃費が変化した場合、月間燃料費がどのように変化するかをCNG車、ディーゼル車のそれぞれについて示した。燃料価格(LとNm3で)が同じであれば、当然の帰結ではあるが燃料消費率の差がそのまま燃料費の差につながっていることがわかる。従って、燃料経済性向上のためには車両の燃料消費率向上が重要であることがわかる。また、燃料価格の観点からは、車両の走行時の燃料消費率比分の価格差(比)が必要である。
6.3 アイドリング時間削減による経済的効果の検討
アイドリング時間を削減することによって車両の走行燃費改善が期待される。
同乗調査において、各事業者の同乗調査日におけるアイドリング時間比率、平均車速、燃費等のデータが得られた。第3章ではアイドリング時間が燃費に及ぼす影響を検討したが、市場での営業走行におけるデータでは明確に傾向が表れなかったので、ここではシャシダイナモメータ上でモード試験のデータを用い、より詳細にその効果を検討した。
同乗調査では、各車両の平均車速は約9〜35km/hで、アイドリング時間比率は約16%〜39%であった。それに対し、D10・15モードの平均車速は22.7km/h、アイドリング時間比率は31.4%であるので、平均車速、アイドリング時間の観点からは、今回の同乗調査データのほぼ中間に位置すると考えられる。そこで、D10・15モードにおいて、アイドリング時間が変化した場合、燃費がどのように変わるか検討した。
燃費は、第5章で用いた排出ガス試験より得られたCNG車、ディーゼル車の平均燃費を用いた。アイドリング燃料消費量は、自動車メーカー3社よりヒヤリングを行い平均した値を用いた。