5.3 燃焼特性
シリンダー圧力分析の結果は付録5および図17および18に表示してある。
VALMET 612 DWIエンジンの基本的着火タイミングは最上部の死点の前で約8°CAであった。ニードルリフト測定によれば、動的噴射タイミングは負荷に応じて上死点の前で5-0°CAであった。
シリンダー圧力の増加はVALMET 612 DWIエンジンについては非常に顕著であった(これについては第5.1章、図14で述べられた)。5%の熱発生でのクランク角度の結果は大きな違いが生じ、そのため燃焼部分の結果はここでは表示されていない。
中速、25%および50%の負荷における燃焼変数は、図17に表示してある。この図から、エタノール燃料に関する噴射の開始は、25%の負荷では他の燃料よりもずっと遅いということがわかる。VALMET 612 DWIエンジンでは着火の遅れは一般的に長く、実際の燃焼過程は非常に速かった。
セタン価向上剤は着火の遅れと最大圧力上昇率に明らかな影響を与えた。一例としてさまざまな負荷でのセタン価向上剤を加えた、あるいは加えないRME20燃料に関しての着火の遅れと圧力上昇率が図18に表示してあるとセタン価向上剤を加えた燃料について着火の遅れと最大圧力上昇率がより早く発生することがはっきりとみてとれる。このことは燃焼過程がより滑らかであることを意味している。
VALMET 612 DWIエンジンの着火の遅れと燃焼過程に対しての、燃料とセタン価向上剤の効果は、VOLVO THD 103 KBエンジンの場合と非常に類似していた。しかしながらこれらのエンジンの燃焼プロセスは一般的にかなり異なっている。