社会保障システムが問題を生じるようになってきたのは、個々人が蓄積した成果が将来自分のために給付される応能応益ではなく、他人のため、とくに高齢者の扶養負担が極めて大きくなってきたことである。高齢者の扶養については、ドイツでは「世代間契約」(Generationsvertrag)と呼ばれてきたものであるが、今や就業人口の減少(現在でも、ドイツの55歳から64歳までの就業率(約4割)は、アメリカ(6割)や日本(6割強)に比較して低い)と高齢者人口の増大によって、この「契約」が若年者に対しては不利になってきていると考えられるからである。(図表9、10、11、12)
図表8 ドイツの高齢者の4つの典型