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核家族化の傾向によって二世代世帯の割合が増加するのではなく、一世代世帯の比率が高くなるのである。単独世帯の割合は、農村との間に大きな違いは認められず、両地域ともに顕著な増加傾向を見せている。単独世帯の増加は一人暮らしの高齢世帯の増加によるものと認識する。

 

表8 世帯構成の形態別分布

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近代化の過程の中で、高齢者が子どもと同居するという家族形態から次第に単独世帯または夫婦世帯という居住形態へと移行して行くにつれ、このような居住形態(Living Arrangement)における変化は高齢者の地位と福祉問題に影響を及ぼしている。1995年の人口住宅総調査から得られた60歳以上の高齢者の居住状況を他世代との同居の観点まで見てみると、一人暮らしの高齢者世帯が13%、一世代世帯26%、二世代世帯28%、三世代世帯以上が33%と集計される。単独世帯と一世代世帯に居住する高齢者がなんと39%にも達しており、今後高齢者の住居問題が深刻な社会問題化する可能性があることを示唆している。

都市に居住する高齢者の場合、一人暮らしが10%、一世代世帯が19%、となっており、約30%の高齢者が単独、または夫婦だけの世帯を形成している。同居形態は、高齢者の扶養と密接な関係にあるため、高齢者にとっては非常に重要な生活手段である。高齢者扶養に関連してもっとも望ましい居住形態は家族と一緒に住むことである。家族と一緒に暮らす場合、高齢期に必要な経済的、情緒的な大部分の扶養が得られると考えられるからである。単独または夫婦だけの高齢世帯の場合は、扶養が限定されざるを得ないのである。

 

 

 

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