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(3)退船時の服装

 海上の漂流は体温低下を伴います。人体の中枢体温が35℃以下に低下した状態を体温低下(ハイポサーミア)に罹ったと言い、漂流中、人命の失う最大の原因と言われております。
 海中での推定生存可能時間は、体力・精神力等の個人差があり一定していないが、季節に応じた服装で漂流した場合、下表が限界と言われております。

水  温 推定生存可能時間
  0℃   15分以内
  2℃以下   45分以内
  2℃〜4℃以下   1時間30分以内
  4℃〜10℃以下   3時間以内
  10℃〜15℃以下   6時間以内
  15℃〜20℃以下   12時間以内
  20℃以上   24時間以内

従って、冬季・夏季を問わず暖かい服装が生存時間を引き延ばす重要な要素となっております。

 ?体熱の発散防止

 体温低下防止のため、水中で身体の自由を束縛しない程度の厚着をします。特に頭部、手足等の露出部は体熱が放出されやすいので、防止(タオルで頬かぶりする)・手袋・靴下等で十分覆って下さい。

 ?救命胴衣の着用

 救命胴衣を装着すると、衣類を身体に密着させ体熱の放出を防ぎます。また浮くための運動(泳ぐ)が不要でエネルギーの浪費を抑え、体温低下を防ぎます。その他、意識を失っても浮いていること、反射テープ・灯火が装備されている場合、発見が容易になる等、救命胴衣の着用は生命維持に必要不可欠です。

 ?発見されやすい服装をする

 蛍光色・オレンジ系統の発見されやすい服装の装着や、ペンライト・反射テープの装着も必要です。

 ?浮力を損なう服装は避ける

 ゴム合羽・長靴等は、水中で体を束縛し浮力を損ないます。特に救命胴衣を着用していない場合は危険です。

 

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