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(2)調査と措置

?怪我人等の応急措

 置怪我人の状態をよく観察します。強度の打撲や出血量の多い怪我は様態が急変するする場合があり、素人判断による措置は危険です。救助機関等の医療指示を受け、適切な応急手当を行うことが必要です。

?損傷箇所と損傷の程度を調査する(乗揚げ)。

 機関室船底や固定された床下等、調査が困難な場所は、各区画の浸水の有無・船体が発する軋み音・外板や甲板の亀裂・歪み等を入念に調査すれば、損傷箇所の発見は比較的容易です。
 損傷の程度は、浸水量からも推測できます。喫水面(船体外水面)より船内の水位が低く、急激に水面差が縮まらない場合は、浸水箇所の亀裂・破孔は比較的小さいと推定されます。反対に、船体に打ち寄せる波の影響等で、船内の浸水面が煽られたり気泡が吹き出している場合は、損傷の程度は大きいと推定されます。
 その他、急激な船体傾斜や船内からの流失物(油・船体の破片等)の有無により判断します。

?乗揚げ・絡網の程度

 乗揚げの場合、爪竿等で底質(岩礁・砂・人工的構造物等)と船底の抵触状態を調査します。船底が柔らかい砂・砂泥の上に全体的に抵触している場合は、船体は比較的安定しています。また局部的であれば、状況により、自力脱出も可能です。
 底質が岩礁等の場合は、局部的と判断されても損傷の強度の場合が多く、注意が必要です。また風浪等の影響で船体が動揺し、損傷部の拡大と浸水量の増大を招き、最悪の場合、船体が沈没する危険性があります。
 絡網の場合、まず浮遊性(浮遊ロープ・魚網等)か、固定性(定置網等の固定式漁具)かを調査します。絡網の程度は、機関のターニング及び絡網時の衝撃等で判断します。強度の場合、機関にかなりの負荷がかかり、機関は始動しません。  ターニング時に負荷を感じない場合、推進器以外の舵等に絡網している可能性もあります。

?安定度の判断

 船体の動揺と傾斜及び浸水量から、船体の安定度を判断します。傾斜が左右に変化したり、傾斜角度が度々変化する場合は、不安定な状態と判断されます。
 潮汐の干満差や風浪により傾斜度数が変化したり、満潮時、船体が正常な姿勢に復原する場合は、ある程度浮力が確保されており、船体は比較的安定していると判断されます。

 

 

 

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