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 海難事故の原因を究明し、再発防止を目的とするのが海難審判である。昭和61年から平成2年までの5年間で海難審判庁で裁決の確定した 事件のうち、主要狭水道で発生した衝突事件123件、船舶数246隻を対象として徹底した分析が『狭い水道における船舶衝突海難の実態』平成4年 3月・海難審判庁に掲載されている。この資料によると狭水道での衝突原因ワーストテンは次 の通りである。
  
 衝突事故を避けるためには如何に見張りが大切かをこの数字は物語っている。
 そして、速力過大33も見逃せない。しかも事故を起こした船246隻の見張員の数について次の数字が挙げられている。
  
 プレジャーボートでは、13隻の内訳は「なし12隻、1人1隻」という恐るべき数字となっている。東京都の地下鉄では事故を防止するため 5つに違った角度からの点検を行っているが、事故はこの5つの関門を全部すり抜けていると言う。この事を考えあわせると、見張り不十分 や見張り員なしでは事故は当たり前との感がする。しかも、事故は自分には起こらない他人ご とだと思っている人が多い。
 悲惨な結果を招き易い衝突海難であるが、今後増加するのではないかとの不安要素がある。それはプレジャーボートの激増とその事故の増 加傾向である。海上保安庁の要救助船舶の用途別隻数統計を見ると、平成2〜7年の間のそれぞれの平均隻数は漁船731隻、プレジャーボート 579隻、貨物船223隻、タンカー61隻、旅客船29隻となっている。
 漁船とプレジャーボートの事故が群を抜いて多いけれども、その分母となる漁船の隻数は多くしかも殆ど毎日のように出漁しているのに対 し、プレジャーボートの隻数は漁船に比べると桁違いに少ない上、海上に出るのは大体休日中心である事を考えると、プレジャーボートの事 故発生率は断然高いと言わざるを得ない。しかも、最近のプレジャーボートは高速化しており、30ノットを越えるものも珍らしくない。関門海 峡のような船舶が輻輳する海域の航跡を解析すると、高速で狭い海域でUターンしているものが見られるようになった。そして、海難防止対 策として小型船溜り場出入り口や屈曲した水路へのカーブミラーの取り付けが真剣に提案されるようになった。陸上の交通事故対策が身近な ものとなり、バックミラーをつけた船艇もある。


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