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高齢者の歩行能力に関する体力的・動作学的研究(第2報)
−膝伸展,足底屈,足背屈の筋力と歩行能力の関係−

 要  約
 富山県庄川町に在住する60歳以上の69名の高齢者を対象に体力測定とアンケート調査を実施した.昨年(平成9年)度の体力測定項目から呼気中亜酸化窒素濃度を削除し,今年(平成10年)度の体力測定項目にファンクショナルリーチと握力を追加した.アンケート調査項目はすべて新規のものを採用した.今年度の対象者69名中,昨(平成9)年と今(平成10)年2年連続して調査研究に参加した46名に注目した.
 その結果,
1)長座体前屈からみた柔軟性,開眼片足立ち,閉眼片足立ちからみた平衡性,シャトルウォークの距離からみた全身持久性能力は2年間ほとんど変化しなかった.特に日常生活におけるからだを動かす量や歩行距離の増減とシャトルウォークの距離の増減との間に一定の傾向は認められなかった.
2)単純反応時間と全身反応時間は1年後で短縮する傾向が認められた.被検者が測定に慣れてきたためかもしれないが,現時点では反応時間短縮の理由については明らかでない.
3)健康状態,睡眠,病院に行く回数,血圧は2年間ほとんど大きな変化は認められない.
4)病気にならないための3つの注意点として,なるべくからだを動かす,三食きっちり食べる,何事にも無理しないという答えが多かった.
5)食事習慣,運動習慣は2年間で大きく変化していないが,昨年と比べ「からだを動かす量」が増えたと答えた者(13名)が減ったと答えた者(8名)よりわずかに上回っていた.

 謝  辞
 本調査研究を遂行するにあたり富山県庄川町社会福祉協議会村井武一会長,石黒吉弘事務局長,藤森浩子主任,民生委員会杉森清三会長をはじめ多くの方々のご支援・ご協力をいただきました.また今年度の体力測定およびアンケート調査に参加・ご協力していただきました69名の皆様とデータ集計にご協力していただきました三村俊哉君と飛騨賢一君に対しこの紙面を借りて厚くお礼申し上げます.


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