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バレー部に所属している女子中学生の食生活の実態調査

 要  約
 女子中学生の栄養摂取状況ならびに食生活状況の実態を把握し,対象者の食事全体の構造と食生活との関連性を検討することによって,食教育の 方向性について考究することを目的とした.都内の私立中学校のバレー部に所属している女子生徒15名(1年生9名,2年生2名,3年生4名)を対象に, 形態測定,レンズ付きフィルムを利用した食事記録調査,食生活に関する自記式質問紙調査を実施した.その結果,3日間の平均栄養摂取状況ならび に栄養素密度からみた所要量に対する充足率からは,脂肪エネルギー比率が高い,カルシウムならびに食物繊維の摂取量が少ないという問題点が 明らかとなった.体重当たりのエネルギー摂取量,PFC比,栄養素密度からみた所要量に対する充足率といった基準化されたデータを用いて主成分 分析によって3因子の抽出を試みた結果,食事全体の構造として,「主食や副菜料理の摂取」「主菜料理や乳・乳製品の摂取」「エネルギーの摂取」 といった特徴が得られた.この3因子の個人ごとの因子得点と形態測定結果ならびに質問紙調査結果から得られた変数との間にはいくつかの興味 深い関連が認められた.例えば,第2因子「主菜料理や乳・乳製品の摂取」は,体重(r=0.518,p<0.05),「コンビニでは甘くない飲料を買う」 (r=0.586,p<0.05)との間にそれぞれ有意な正の相関を示した.第3因子「エネルギーの摂取」は,体重(r=0.692,p<0.01),BMI(r=0.617,p<0.05)と の間にそれぞれ有意な正の相関を示す一方,「間食や夜食では甘くない菓子を食べる」(r=-0.581,p<0.05),「家族から栄養に関する情報を得ている」 (r=-0.554,p<0.05)との間にそれぞれ有意な負の相関が認められた.このような関連性から,本研究の対象集団では,食意識や食情報に対する関心を 高める,間食や夜食の取り方,上手なコンビニの利用方法などに注目した食教育の展開が考えられた.


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